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完了形と進行形

こんばんは、綿貫ある子です。

英語の授業のときに「現在完了形ってなんぞ?」となった人は少なくないのではないでしょうか。
「現在形やら未来系やら現在進行形やら過去進行形やらは、感覚として理解できる。しかし、完了形はよくわからん」
・・・こんな感じの人です。
(ついでにいうと、そんな人は古文の授業で混乱した人でもあるはず)

実は英語や古文の授業で混乱するのは無理のないことなのです。
というのも、現代日本語においては、完了形と進行形を区別しないのです。
そのため、標準的な日本語に訳したときに完了と進行の違いが消滅してしまうので、よくわからないことになります。

私は10年間ピアノを弾いている。
I have been playing the piano for 10 years.

私は今、走っている。
I am running now.

これらは、どちらも「ている」という助動詞を使うので、違いが分からないですね。
問題は、英語教師がこのへんのニュアンスについて上手く説明できないことにあります。
たしかにそれは無理からんことなのですが・・・ここでひとつ、ウラ技を紹介しましょう。
・・・まあ、すべての日本人に理解できるとは限らないのですが。


実をいうと、西日本の方言は完了形と進行形を区別します。
綿貫は熊本県の方言が一番詳しいのでそれを例にしますと――

・「とっとっと」
一部で有名な熊本弁ですね。意味は「取っている」。
しかし具体的な使用法はこうです。
まんじゅうをひとつ手にして、
「これは明日のために、とっとっと」
=「これは明日のために、取っています」
無理矢理現代日本語にすると「取っておいています」で、言い換えると「確保しています」のニュアンスです。
つまりこれは完了形に相当します。

・「といよっと」
これも熊本弁で、意味は「取っている」です。
熊本以外の地域では「とりよる」に相当することが多いです。
具体的な使用法としては、夏の山で樹のそばにいる人が、
「私は今、カブトムシをといよっと」
=「私は今、カブトムシを取っています」
こちらも現代日本語では「取っています」になりますが、いわゆる現在進行形になります。

まとめるとこうです。
「とっとっと」や「とっとる」は完了形。
「といよっと」や「とりよる」は進行形。
英語のテストで完了なのか進行なのか迷ったときには、一度方言にしてみましょう。
「私は10年間ピアノを弾いとっと」や「私は今、走りよると」になりますから、間違いません。
(熊本以外では「とる」「ちょる」になるのが完了形で、「おる」「よる」となるのが進行形です)


某所で綿貫は「熊本弁では完了と進行の区別をするから、標準語より発達している」という文章を見ましたが、正確にいうと逆で、昔の日本語がまだ残っているというほうが正しいです。そして昔の日本語では完了・進行や能動・自発などを区別していたのだけれど、徐々に省略、統合されていった――ということに過ぎないです。

さらにいうと、日本全土における現代標準語の浸透で、方言でさえも完了と進行を区別しない地域が最近は増えています。
(兵庫以西の方言では完了と進行を区別する、というのが定説のようです。しかし綿貫が調べたところ、若い人は方言を話しながらも完了と進行の区別を気にしていないパターンが多いです。標準日本語を覚えた反面、区別の感覚が薄れたのだと推測)
おそらく、今より数十年のうちに日本語の完了と進行は完全に統一されるでしょう。
それが悪いこととはまったく思いませんが、未来の子供が英語を勉強するときには今よりさらに混乱するんじゃなかろうかと、いらぬ心配をする次第でありんす。


おまけ

「とる」「ちょる」が完了で、「おる」「よる」が進行だと書きました。
が、実際に完了の意味を成す形態素は「t」の音です。
(あえてひらがなで書けば「て」の音)

t + oru(おる) → toru → とる
t + yoru(よる) → tyoru → ちょる


プロフィール

星八角ある子

Author:星八角ある子
或るライターの落描きブログ。
無尽に趣味へ走っています。
最近は地元ネタが増えています。

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